昨日1月4日(土)、FMヨコハマ トラベリンライトに出演させていただきました。
↓
住宅に必要な性能のひとつ「躯体性能が大事」
というお話をさせていただきました。
内容について、こちらのブログに詳しく書かせていただきます。
高性能住宅、高気密・高断熱など、住宅の性能をあらわす言葉がいろいろありますよね。
ですが、そもそも住宅の性能は何のために必要なのでしょうか?
家に求めるものは、
「省エネで健康に快適に安心して暮らせる家」
「資産になる家」
というところではないでしょうか。
快適に安心して暮らせる家に必要な性能が躯体性能でして、以下の4つに分けられます。
・耐震性能
・断熱性能
・気密性能
・耐久性能
この他に「省エネ設備」の導入も大切ですが、設備の寿命は10~20年程度と躯体の寿命に比べてかなり短いので、今回説明は省きます。
躯体性能は住宅が存在する限り、その性能を保ってくれます。
そして改修工事でも対応は可能ですが、新築時に比べると何倍も費用が掛かりますし、できる範囲も限定的になります。
予算的に可能であれば、最初にある程度の性能にしておくことが30年~50年で考えた場合にお得になります。
耐震性能・断熱性能・気密性能に関する費用は新築時のイニシャルコストだけで、ランニングコストは掛かりません。
そして、耐久性能も雨水の浸入を防ぐ部位に使用する材料も耐久性の高いものを採用するとメンテナンスコストを低減できます。
では、それぞれの性能はどのくらいにすれば良いのでしょうか?
これらの性能は「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に規定されており、それぞれに性能の段階を示す「等級」が定められています。
「等級1」が性能が低く、数字が大きくなるほど性能は高くなります。
私たちがおすすめしている性能は以下の通りです。
・耐震性能・・・等級3(最高)
・断熱性能・・・等級6(最高は7)
・気密性能・・・C値0.5㎠以下(法規に規定なし)
・耐久性能・・・等級3(最高)
では、個別にみていきましょう。
【耐震性能】
等級1は建築基準法を満たした建物です。
等級2は等級1の1.25倍、等級3は等級1の1.5倍の性能です。
建築基準法については、以前のブログで記述しましたので、そちらをご参照ください。
ちなみに災害時の拠点となる消防署や警察署は等級3で造られています。
2016年4月に発生した熊本地震では震度7の地震が2度発生しました。
その中でも耐震等級3で建築された木造住宅はほぼ無被害でした。
等級2でも全壊した住宅もありました。
これらを考え、耐震等級3を標準としています。
また、計算方法は構造計算(許容応力度計算)を行っています。
【断熱性能】
断熱性能は室内温度が外気温の影響を受けにくくし、快適な室内環境をつくります。
性能が高くなると少ないエネルギーで家全体を冷暖房できるようになります。
「外皮平均熱貫流率(UA値)」で表され、数値が小さいほど高性能になります。
外皮とは、屋根(天井)・外壁・窓・ドア・床・基礎です。
外皮の断熱性能の合計を外皮面積で除したものが、UA値です。
当社が施工している神奈川県は6・7地域なので、
等級7 ~0.26
等級6 0.27~0.46
等級5 0.47~0.60(ZEH基準、2030年から義務化予定)
等級4 0.61~0.87(2025年4月から義務化)
です。
等級7は、外壁の付加断熱と樹脂窓トリプルガラスが必須となります。
等級6は、外壁充填断熱と樹脂窓ペアガラスで対応可能です。
当社はコスパに優れた等級6を標準としています。
また、基礎断熱+無垢フローリングなので、夏はサラッと、冬も冷たく感じにくいです。
【気密性能】
気密性能は建物の外皮の隙間がどのくらいあるかを表します。
実際に隙間を埋める「気密工事」が完了してから、実際の現場で測ります。
断熱性能UA値が設計図から計算して求められるのに対して、一棟一棟実測します。
隙間は「相当隙間面積(C値)」で表され、数値が小さいほど高性能になります。
C値は本州では、2.0で「高気密住宅」といえます。
しかし、C値2.0では断熱性能が21%低下、C値1.0は11%低下、C値0.5は4%低下です。
UA値はC値ゼロ(隙間なし)を前提としているのです。
また、気密性能を高めると壁内結露の防止にもなり、耐久性の向上にもつながります。
ですので、当社ではC値0.5以下を標準としています。
【耐久性能】
耐久性能は劣化対策等級で表され、等級1~3まであります。
躯体の耐用年数は、等級1は25~30年、等級2は50~60年、等級3は75~90年です。
木材の腐朽・シロアリ対策等によって等級が決まります。
しかし、私たちは評価される項目では足りないと考えています。
木材が劣化する原因は、腐朽菌による腐朽、シロアリの食害です。
いずれも水分が原因となりますので、木材を乾燥状態に保つことが重要です。
水分の侵入経路は以下の5種類があります。
①木材が含んでいる水分
②建築中の降雨等
③床下の地面から上昇する湿気
④生活空間で発生した湿気が壁内に入り込み結露する
⑤雨漏れ
①②③は設計及び施工管理により防げます。
④は断熱材の透湿性の低いものを使うか、防湿気密シート施工することで防止。
⑤は設計(プラン・材料選定)と施工の両方が大切です。
屋根・外壁等の雨水の浸入を防ぐ部分の耐久性に注意が必要です。
表面の屋根材・外壁材(1次防水)の耐久性だけでなく、その下の防水材の耐久年数も検討しましょう。
少なくとも20年保証の商品を採用したいところです。
シロアリ対策ですが、日本で普及しているのは5年で効果がなくなる薬剤です。
新築時はしっかり施工できますが、5年目以降は壁等仕上げ材で覆われるため、二度と施工できないと言っても良いでしょう。
私たちは、永続的な効果があるホウ酸処理を標準にしています。
アメリカカンザイシロアリ対応の全構造材をおすすめします。
以上の工事を行うと、基準法を満たす程度の建物と比べて建築費用は高くなりますが、
断熱性能を高めると、電気使用量が少なくできる。
耐震性能3にすると、地震保険が50%にできる。
長期優良住宅の認定を受けると、登記費用や住宅ローン控除等の優遇を受けられる。
等のメリットもあります。
それ以上に毎日が健康に快適に暮らせるのが最大のメリットだと思います。
建築費の増額が100万円の場合、住宅ローン(返済期間35年 金利1.6%)に換算すると、
月々の返済額は、3111円(年間返済額37,332円)になります。
考え方にもよると思いますが、快適な室温で暮らすために電力会社に電気代を多く払うのか、住宅ローンとして35年支払って、その後は無料になるのかの選択だと思います。
耐震等級3で地震保険料を半額にする。
省令準耐火仕様で火災保険料を減額する。
電気代、保険料として払うのか、建物を良くする工事費を住宅ローンとして支払うのかという選択でもあると思います。
繰り返しになりますが、これから住宅を建てようと考えている方に
「省エネで健康に快適に安心して暮らせる家」
「資産になる家」をつくっていただきたいです。
建築費、メンテナンス費、光熱費、保険料等は全てトレードオフですし、バランスを取った計画が大切です。
住まいづくりは「今現在」と「将来」を見据えて計画しましょう。