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  • すまい環境設計株式会社

耐震性能を確かめてみました

耐震性能を実際に測定できるのをご存知でしょうか?

『微動探査』という検査方法があります。

今回、新築させていただいた物件で、設計通りの強度を発揮できているのか調査してみました。


まず、建物の構造設計は以下のように行っています。

建築基準法施行令46条で、木造の構造耐力上必要な壁量と配置について規定されています。

※2025年4月に建築物の重量化による壁量の見直し予定

まずは建物にかかる地震力と風圧力を求めます。

地震力(建物重量→床面積)
風圧力(建物の外壁の面積)

地震力と風圧力に対して、必要な壁量を求め、バランス良く配置していきます。

大きな円の中の●が建物の重心(重さの中心)、◎が剛心(強さの中心)です。

重心と剛心が離れているほど、ねじれやすくなり、地震被害を受けやすくなります。

なるべく近づけるように設計します。

重心・剛心1F
重心・剛心2F

このように壁の位置・強度を決めて、地震力と風圧力を受けたときに、柱が抜けないように柱頭・柱脚に設置する金物の強度を決めます。

許容応力度計算では、さらに詳細な検討をしていきます。

基礎の断面・配筋、水平剛性の検討、梁成の検討(たわみ量)などです。


このような手順を踏んで、設計していきます。

建築基準法通りだと等級1、基準法の1.25倍の強度が等級2、1.5倍の強度が等級3です。

当社では、許容応力度計算での等級3をおすすめしています。


完成した設計に基づいて施工していくのですが、

「巨大地震が来た時に本当に大丈夫なのだろうか?」

「本当に設計通りの強度が出せているのだろうか?」

このような心配を解消するためにも、実測をしてみよう!!

ということで、『微動探査』を実施しました。


『微動探査』とは、常時微動という私たちが感じることのできない微弱な地盤の揺れを測定し、建物の強度を測定する検査です。

以下の2項目を測定します

①建物と地盤の「固有周期」

 常時微動から建物の固有周期から耐震性能を予測、

 地盤の固有周期から地盤種別を確認、

 共振の可能性を検討します

②建物の「重心・剛心」

 2階の4隅に設置した微動計の常時微動から重心・剛心を測定します


建物の固有周期ですが、

耐震性能が高い木造住宅の固有周期は0.1~0.3秒

耐震性能が低い木造住宅の固有周期は0.3~0.5秒です

建物の固有周期は0.11秒でした。

→耐震性能はかなり高い建物という結果でした。

建物の固有周期(0.11秒)

次に地盤の固有周期です。

地盤種別は3種類あります。

一番強固なのが第一種地盤、軟らかいのが第三種地盤です。

固有周期により、区別されています。

地盤種別と周期(S55建告第1793号)

今回の地盤の固有周期は0.77秒でした。

より安全側に設定し、第三種地盤に分類されました。

建物の固有周期(0.77秒)

地震は地盤の揺れが建物に伝わります。

地盤と建物の固有周期が一致すると共振が起きます。

今回の地盤と建物の固有周期をみてみましょう。

建物0.11秒、地盤0.77秒ですので、共振の可能性は低いと判定されました。

ひとまず安心の結果です。


次に建物の重心・剛心です。

こちらも設計通りの結果がでました。

しっかりした施工ができていることが確認できました。

重心・剛心

木造住宅の大敵で「キラーパルス」と呼ばれる周期1~2秒の揺れがあります。

耐震性能が低めの建物でも固有周期は0.5秒程度ですので、一見共振は起きないようにみえます。

これからの建物は30年ではなく、長期優良住宅という3世代100年使い続けられる建物になっていきます。

地震被害にあう回数は今までに比べて増えるのは必然ですよね。

建築基準法では以下のようにあります。

中規模の地震(震度5強程度)では、ほとんど損傷を生じない

大規模の地震(深度6強~7程度)では、人命に危害を及ぼすような倒壊などの被害を生じない

基準法(等級1)通りでは、中規模・大規模の地震にあうと、限界を超えて変形し、元の形状に戻らない損傷が生じる可能性があります。

耐震性能が劣化すると、固有周期が長くなり、キラーパルスと共振する可能性がでてきます。

そうしないためには、建物を耐震等級3で設計施工することが有効です。


微動探査は現状の建物強度を測定できます。

新築時に測定しておけば、被災後に損傷の有無を確認できます。

また、耐震改修前なら、設計方針も作りやすくなります。

長く安心して使える建物をつくるためにも導入を検討してはいかがでしょうか。


調査会社は コチラ

株式会社Be-Do(ビィードゥ)

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